婚礼儀式と納采の儀

先日新大阪に於いて全国結納品組合連合会の研修会が開催されました。
テーマは「結納に関する統一見解を考える」という事で実りある研修でした。


婚礼儀式は人生最大の儀式である事は多くの人が認識することですが、婚礼儀式には「結納式」「結婚式」「結婚披露宴」と三つに分かれております。その最初に行われる「結納式」は皇室で行われる「納采の儀」に当たることは周知の事実です。
納采の儀は4~5世紀に仁徳天皇の皇太子(のちの履中天皇)が妃を呼ばれるときに中国に習って「納采」が行われたと日本書紀に記述されています。
以前、組合の方で有識者の見解として荒木先生に「結納の歴史-古式儀礼における起源-」という論文を書いていただきました。結納儀式の必要性が書かれ我々業界にとって有難く、また責任をもって結納の文化を継承して行かねばとの使命を感じるものでした。

長い論文なので、私なりにかいつまんで書きますと(下手な文で申し訳ありません。また内容が違うと先生から叱られるかもしれませんが)・・


結納は婚礼儀式の一番初めに行われるもので双方に結婚の責任が生じるものでその起源は4~5世紀に「納采の儀」として行われた事が日本書紀に記載されています。その「納采の儀=結納」が大和朝廷の政治的意図を反映する日本書紀に記載されている事は重大な意味を持ち、今日捉えられているよりも最も重要な儀式であり、その意義は家と家の結びつきを確固たるものにし、しいては国民相互の結びつきを強化する大切な儀式であるという事です。

また、「納采」は中国の礼記に記載され「納采」「問名」「納𠮷」「納徴」「請期」「昏礼」と続きます。この一連の儀式(婚礼儀式)は両家の結びつきを得て、男性側の先祖を祀り、それによって子々孫々までに至る血統を守るための物で、それ故に重要な物とされています。そして納采の儀=結納はこれらの儀式の一番初めに行われ、婚礼における本質的な大切な儀式であります

納采=結納は「礼」であり、その礼は文化である。文化を守ることは家族、民族、ひいては人類を守る事を意味し、人と人とは「礼」という形式をもって結びついており、家族、民族、人類の維持に必要なものである。そして、古代より日本のような小さな島国で国民がまとまって生きていく上で、代々担ってきた伝統儀式を守り継ぐ事は、平和と安定と統合に必要であり、日本の制度や秩序を守っていく日本人の知恵であるという事です。 以上論文より

そして、我々が行っている結納儀式は、さらに鶴亀松竹梅の水引飾りや熨斗、末広などの意味のある結納の品々を嫁方様に贈りその前で、双方の子供が一緒になり子宝に恵まれ、栄えて幸せに暮らせるようにとご両家で祈念しお祝いする事でご両家の信頼関係を深くし、絆を強くする儀式です。
このような日本古来から伝わる大切な意味を持つ結納儀式を風化させずに、子々孫々まで伝えていく事が結納業に携わっている者の使命だと痛感しています。

2019年06月22日